< 目次 >
1.精神疾患のご活用者様への訪問看護とは?
2.訪問看護における基本的な精神疾患と訪問内容
3.精神訪問看護の導入の手順
4.精神訪問看護に関する制度について
5.ご活用者様の実際の声
1.精神疾患のご活用者様への訪問看護とは?
精神疾患を抱えた人々は年々増加傾向にあり、その多くが長期入院を要する現状にありますが、全体の約半数の患者が退院、在宅療養への移行を余儀なくされる環境があると言われております。自宅へ戻った後、ご自身もしくはご家族様サポートのもと内服治療、定期受診を行い療養をされています。また社会復帰を目指すため、デイケアや生活訓練事業所等に通われる方もいます。
その中でも独居であり、ご自身での内服管理が困難である方、ご家族様の支援だけでは療養に困難がある方、精神状態の異変に伴い自傷行為や暴力を行ってしまう方等、療養や社会復帰が困難である場合、在宅看護導入に至ることがあります。
在宅看護師は、上記で述べた療養や社会復帰が困難である方へ、精神状態の観察、薬剤調整や受診の提案、福祉サービスや社会復帰を目指せる事業所、デイケアの提供や検討等を行い療養をサポートしています。
2.訪問看護における基本的な精神疾患と訪問内容
基本的な疾患として、統合失調症、双極性障害、認知症のご活用者様が多くいらっしゃいます。
精神疾患の既往がある方の中には、動悸や手足のしびれ、腹部膨満感などの不定愁訴に悩まされる方が多くいらっしゃいます。その自覚症状が疾病によるものなのか、精神的な不安によるものなのかを見極めるため、私たちは日々の訪問でご活用者様の普段の状態をしっかり把握できるように心がけています。
また、体調確認の他にも、内服管理の方法をチームで検討したり、ご活用者様の不安の傾聴により、精神症状が安定するように努めています。
精神疾患は些細なことが精神症状増悪の兆候である可能性もあるため、訪問時に気になることがあれば細かいことでも担当医や担当ケアマネジャーへ報告し、クリニックや保健所と連携してご活用者様の生活をサポートしています。
3.精神訪問看護の導入の手順
精神疾患の方で医師が訪問看護の必要性を認めた場合、医療保険を利用し訪問を依頼することができます。
もし訪問看護を希望される場合は、下記の機関に訪問看護の利用を検討していることを相談します。
①受診している病院やクリニックのソーシャルワーカー、精神保健福祉士、主治医、看護師
②生活の相談をしている機関(保健所、精神保健福祉センターなど)の担当者
①、②から訪問看護ステーションに訪問依頼し、訪問看護ステーションが決定した後、主治医が作成した精神科訪問看護指示書に基づき訪問開始となります。 指示書には具体的なケアが記載されており、医師の指示がない支援を行うことはできません。
「精神科特化を謳う訪問看護ステーションでしか精神科の訪問をしてくれないのでは?」
と思っている方もいるかもしれませんが、精神科の訪問看護は全国全ての訪問看護ステーションで受け入れることが可能です。
4.精神訪問看護に関する制度について
精神訪問看護は医療保険を使用しての利用となります。
医療保険は「公的医療保険」と「民間の医療保険」の2種類があります。
①「公的医療保険」:私たちが病気やケガをした際の医療費の給付があり、自己負担は1割~3割となります。
・国民健康保険:自営業や退職者、無職の人が加入する地域保険
・健康保険:会社員が加入する健康保険組合や協会けんぽなどの職域保険
・後期高齢者医療制度:職業にかかわらず75歳以上の方が加入する
②「民間の医療保険」:公的医療保険でカバーしきれない医療費への備えとして活用されます。(入院時の食事代、差額ベッド代など)
・公費負担医療制度:医療保障制度には、公的扶助、社会福祉、公衆衛生等における公費負担医療制度があります。この制度は、特定の人々を対象として国又は地方公共団体が医療給付を行うものです。
5.ご活用者様の実際の声
実際にLEの精神訪問看護を活用してくださっているご活用者様に、お話を伺いました。
●訪問看護を利用してよかったこと
「訪問看護の方が来るようになって、家族では話せないような趣味の話以外にも、病気や日常生活での悩みの相談相手になってくれてとても気持ちが穏やかになります。相手にどう思われているかばかり考えていましたが、看護師さんの話を聞いてどう思われているか考えることが少なくなり、対人関係によるストレスが軽減しました。私の精神的な症状が安定したら、病気を持った当事者だからできることがしたいです。例えば、同じような病気を持った人たちの悩みを聞くボランティアとか、色々自分にできることを考えている最中です。」
●訪問看護・訪問リハビリに臨むこと
「今まで通りに、話し相手になってほしい。趣味の話や病気に対する悩みを相談していきたいです。」
ご活用者様からは、訪問時に話を聞いてくれることで気持ちが楽になるとのお声をいただいています。他者との接点が殆どなく、自閉的な生活を送る中で、私たち訪問看護スタッフとの関わりが、ご自身と社会との繋がりとして実感でき、日々の生活に安心感が生まれるとのお話も伺います。
LEの訪問看護が、ご活用者様に安心感を与え、地域でよりよく生活していくための手助けになることができればと思い、私たちは日々訪問に励んでおります。
興味のある方はぜひLEへ。 https://www.lovei.co.jp/job
参考文献:荘村明彦,訪問看護お悩み相談室,中央法規出版株式会社,2020-8-20
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