1.爪の役割
[爪とは]
爪とは皮膚の角質が変化して硬くなったものです。主にタンパク質の一種であるケラチン
から構成されています。成人だと1 日に約0.1mm 伸びます。年齢や季節によっても伸びる
スピードが変化します。
爪の役割
爪は指先の形を整えたり、感染を予防したりしています。 爪があることで触覚が鋭くな
るため、指先の微妙な感覚など重要な役割を果たしています。また、手の爪があることで細
かい作業をするときに力の入れ方を微妙に調節できます。 足の爪は体重を支え、歩く時に
も指先に力を入れる働きを担っています。
爪の観察ポイント
爪表面の硬さ、肥厚、爪の剥離を観察します。爪の異常で生活に支障が出ていないかの確
認をします。変形した爪が靴を履いたときに傷ついていないかも確認します。痛みの有無や
出血がないかも合わせて観察します。
2.爪の異常
[爪白癬とは]
爪白癬は70 歳代で25%、90 歳代で55%が罹患しているといわれています。
症状
爪が白く濁ることや、爪が分厚くなる。ボロボロとかけていく。
といった症状がみられます。
痛みやかゆみなどの自覚症状を伴わない場合も多いです。
治療
罹患部位が広範囲なものは、内服を選択します。
比較的軽度なものにおいては、外用薬を選択します。
種類にもよりますが、内服薬は、6 か月、外用薬は1 年の継続が必要です。
白癬菌は高温多湿の場所を好むため趾間には保湿剤を塗らないようにすることが大切です。
[巻き爪]
爪が内側に巻き込んだ状態のことです。主に足の第1趾(親指)にみられることが多いです。
症状
無症状の場合もありますが、爪が皮膚にくいこむことにより、疼痛、炎症などを起こすことがあります。炎症が起こるとさらに爪の食い込みが強くなり、ますます炎症が強くなります。
治療
アクリル人工爪などを作成し、巻き爪を予防する方法があります。
強度の巻き爪の場合、手術療法がおこなわれる場合もありますが、保存的療法としてワイヤーやクリップなどの矯正もあります。その他にも、テーピング法やコットン療法などの治療方法もあります。
3.爪のセルフケア
[セルフケアの必要性]
セルフケアを実施する感染予防や下肢機能を守ることに繋がります。また糖尿病や閉塞性
動脈硬化症などの足病変のリスクを持つ患者さんにとっては足病変を予防することができ
ます。
セルフケアの方法
①足浴
5~10 分ほど足浴をします。足浴は爪を柔らかくするだけでなく血行促進などの効果もあ
り、健康な爪を作るための助けとなります。爪を洗う際は、爪ブラシで爪と皮膚の間を傷つけないように優しく洗います。
②保湿
足全体の乾燥を防ぐため、保湿します。塗擦(軽く擦りこむように塗る)回数が多いほど保湿剤の皮膚の吸収が良く、保湿効果が高くなります。
③爪の観察
爪が肥厚している場合は別の指に当たっていたりなどしていないか見ます。また靴に当た
る部分などがないか、深爪はしていないかなど確認します。
④爪切り
可能であれば入浴後や足浴後など爪が柔らかく清潔な状態で爪切りを行います。一度で
切ろうとせず、何回かに分けて少しずつ切るようにします。
厚くて硬い爪は始めにやすりで表面を削って薄くすると簡単に切ることが出来ます。爪
の先には白い部分が1 ミリ程度残るように、また爪が真っ直ぐなるように切ることが大切
です。
爪を切り終わったら爪にやすりをかけ、爪の切り口が滑らかになるようにします。やすり
は爪に対して一定方向に向かって動かし、爪が滑らかになるまで何度か繰り返します。やすりがけが終わったら温タオルなどで爪の表面を拭い、汚れを落とします。
4.爪切りに必要な道具
[道具]
代表的な物品として下記があります。
①ゾンデ
②ニッパー
③爪切り
④爪やすり
①ゾンデと②ニッパーについて紹介していきます。
①ゾンデ
爪と皮膚の間の角質(垢)を取り除くために使用します。ゾンデは鉛筆を握るように持ち、
深爪などの危険を予防するために爪の形をしっかり見る目的でも使用して下さい。爪の横
や内側に溜まった角質(垢)は、そのままにしておくと不衛生になりそのうち硬く固まってくると圧迫の原因となり痛くなることもあります。爪が痛いため巻き爪だと思っていても、角質を綺麗に取り除くことで痛みがなくなり楽になったということもよくあります。
②ニッパー
固い爪や厚い爪を切るのに使用します。刃先3 分の1 を使用して少しずつ切るようにして
いきます。爪のカーブに沿って削ぎ落とすように切れるのが特徴です。そのため爪への負担も少なく、割れやすい爪も安全に切ることができます。
爪切りの注意点
爪切りを実施する際に、ケアの方法や切り方がわからないなどあれば、無理に実施せず、医療機関や専門知識をもった方に相談し、安全に実施していきましょう。
LEでももちろん爪切りの実施や相談は可能です。爪切りが自分ではなかなか行えないという方も多くいらっしゃいますので、気軽にご相談ください。
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